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21Novel > Kaiko Sareta Ankoku Heishi (30-dai) no Slow na Second Life > 84-83 Dariel makes a decision

84-83 Dariel makes a decision

    「大爆発をする……!?」


    バシュバーザが。


    炎魔獣をそのまま取り込んだバシュバーザは、その力を制御できないどころか飲み込み切ることすらできず、暴発させて周囲諸共吹き飛ばすという。


    バシュバーザ自身が魔法爆弾になるってことか。


    暴れ回っていた魔獣の強さから考えて、あの脅威がそのまま爆発力に変換されたら、ミスリル鉱山は間違いなく消し飛ぶ。


    近隣にあるラクス村にまで被害が及ぶかもしれない。


    「ひー大変だわ! 逃げるのだわ!!」


    「逃げんな」


    風に乗って飛び去ろうとするゼビアンテスの首根っこを掴む。


    「ここにいる連中は、どんなに頑張って逃げても爆発圏から脱出できまい……! その前に爆発してしまう……!」


    だから皆で生き残る方法は、何としてでもバシュバーザの爆発自体を阻止すること。


    純エネルギー化した魔獣は今なおバシュバーザ体内に注ぎ込まれ、心なしかヤツの体が膨らみ始めていた。


    「やめろおおおおッ!? やめて、死にたくない! 助けてええ、助けてえええッ!!」


    「安心しろ、お前一人を死なせはせん」


    グランバーザ様が言う。


    息子バシュバーザの肩を両手でガッチリ掴みながら。


    「皆聞いてくれ。この愚息の不始末は、私が処理する。それが父親としての役目だ」


    「グランバーザ様、何を……!?」


    「私の全魔力をもって爆発を封じ、被害を最小限に抑える」


    そんな。


    そんなことをしたら……!?


    「当然、私は死ぬ。全魔力を搾り尽さなければ魔獣の暴発は抑え込めないであろうし、それでもなお完璧に封じられず爆発に巻き込まれるだろう。……ゼビアンテス」


    「はいだわッ!?」


    居合わせる四天王の名を呼ぶ。


    「すまんが、風魔法で私とバシュバーザを遠くへ運んでくれ。できるだけ人のいないところへ。被害を最小限に抑えたい」


    「いやだあああッ!? 死にたくない! 死にたくないいいいいッ!!」


    バシュバーザは無様に泣き叫ぶばかりだった。


    こんな破滅的結果に至ったのは、すべてヤツ自身の決断と行動の結果だというのに。


    「助けてください父上! ボクはまだ死にたくない! 死ぬのは嫌だああああッ!!」


    「バシュバーザよ、それが報いだ。生きる者は皆、自分のしたことに対する報いを受ける。善行には報恩、悪行には報復。お前もまたお前の罪から発する罰を受けねばならんのだ」


    グランバーザ様は、愚かな息子の頭を優しく撫でる。


    「私も罰を受けよう。然るべき養育を怠り、お前のようなバカ者を育ててしまった罰を謹んで受けよう。……一緒に滅びるのだ。それが我ら、愚かな親子に相応しい末路だ」


    グランバーザ様は、バシュバーザと共に死ぬつもりだ。


    それがヤツの父親としての責任の取り方だと。


    グランバーザ様は歴代最強四天王と謳われるが、その魔力をもってしても魔獣パワーの暴発をどれだけ封じきれるか。


    完全にはとても無理だろう。


    爆発の規模をいくらか縮小するのが精いっぱい。


    十分の一だろうか? それとも五分の一?


    グランバーザ様の大魔力をもってしても半分も抑えられないかもしれない。


    それならば……!


    俺は走り出た。


    そして跳躍し、グランバーザ様の肩越しにヘルメス刀を突き出す。


    ブスリと。


    バシュバーザの胸に刺さった。


    「ぐぎゃああああーーーッ!?」


    「ダリエル!? 何を……!?」


    俺の突発的な行動にグランバーザ様も戸惑いを隠せぬ風。


    だが俺も、立ち止まるわけにはいかない。


    「グランバーザ様の息子は……、お前一人だけじゃない……!」


    この俺だって、すべて真っ新な赤子の時から、この方に育てていただいた。


    俺にとってこの方は原点そのものだ。


    もっとも恩ある御方だ。


    「そのグランバーザ様を、お前なんぞの道連れにさせるにはいかないんだ。この始末は俺がつける!」


    バシュバーザの胸に刃を突き立てながら言った。


    「ダリエル!?」


    「グランバーザ様、俺の我がままをお許しください……! アナタの自責はわかっているつもりです……!」


    だがそれでも……!


    「俺はアナタに生きてもらいたい! 泥はすべて俺が被ります! バシュバーザは……!」


    俺がケリをつける。


    「ゼビアンテス! 風魔法で俺とバシュバーザを飛ばせ! できるだけ遠くへ!」


    「は、はいなのだわ!!」


    ゼビアンテスは迅速に動いてくれた。


    突風を巻き起こし、俺とバシュバーザを諸共吹き飛ばした。


    剣を突き刺し、ガッチリ組み合っているから離れようがない。


    「ダリエル! バシュバーザ!!」


    地表に残るグランバーザ様の姿を空から確認できた。


    俺たちを追おうとするのを、アランツィルさん組みついて引き留めている。


    あの人に任せておけば大丈夫だろう。


    俺は俺で、自分のすべきことを遂行する……!


    突風に乗って空を行く。


    皆のいるミスリル鉱山を遥か後方に置いて、距離を充分とった。


    「ここまで離れても、普通に爆発させたら皆死ぬだろうな……!」


    爆発の根源は魔獣なのである。


    楽観していい相手じゃない。


    「これから、お前の爆発を封じ込めるための作業に入る。成功しなきゃ俺も死ぬからな、本気でやらせてもらうぞ……!」


    「ボクは!? ボクはどうなるんだ!? 助かるんだよな? 助けてくれるんだよな!?」


    「……」


    バシュバーザの縋るような声に俺は何も返せなかった。


    コイツもわかっているだろうに。


    俺は魔法を使えない。魔法に関しては完全な素人の俺に、コイツを器用に救う手立てなど思い浮かばない。


    既に大半が融合したバシュバーザと炎魔獣を分離する方法なんて見当もつかない。


    「…………助けてくれダリエル」


    バシュバーザが言った。


    「助けてくれ! ボクのことを助けてくれ! ダリエル! お願いだ助けて!!」


    「その言葉をずっと待っていた……」


    アナタが新しい四天王に就任してから、俺はアナタを助けようとずっと足掻いてきた。


    アナタを助け、導き、足元から支えて、アナタをお父上に負けない立派な四天王にしてあげたかった。


    「……なんで、何もかも手遅れになってから言うんだ」


    俺は、バシュバーザの胸からヘルメス刀を引き抜き、その体を蹴飛ばした。


    その勢いで二人の距離が空く。これからの試みのためには一定の間合いが必要だからだ。


    魔獣エネルギーの暴発によっておこる大爆発。


    それを防ぐのに俺が思いつく手段は一つしかなかった。


    「俺の最大出力オーラでもって、魔獣の魔力を相殺する」


    基本的にグランバーザ様のとるつもりだった方法と同じ。


    違いは、グランバーザ様はあえて爆発させたあと封じ込めるのに全力を注ぐおつもりだったが……。


    俺は爆発させる前に、依り代となるバシュバーザごとすべてを消滅させる。


    最初で最後のチャンスは、魔獣のパワーがすべてバシュバーザの体に入りきったあと。


    それから爆発するまでのほんのわずかな瞬間。


    恐らく一数える間もないだろう。


    その一瞬を狙って、我が全オーラを叩きこむ。


    「頼むぞヘルメス刀……!!」


    最高の刀匠スミスじいさんの最高傑作にして我が相棒よ。


    俺の全オーラ、お前を介して放つもっとも効率的な形態はなんだ?


    剣形態か? ストック形態か? 鞭形態か?


    ……いや、そのどれでもない、オーラ放出にもっとも適した形態が必要だ。


    新しい、壮大な……。


    新たに解放されたお前の真価をもって……!!


    「おおおおおおおーーーーッ!!」


    ヘルメス刀は応えてくれた。


    柄のみの基底形態から、光の刃が噴出される。


    「これは……!?」


    オーラそのものが刀身になった


    オーラで出来たオーラ刀。


    しかも刀身の大きさは、間欠泉のように噴出するオーラの勢いを得て凄まじく大きい。


    両手持ちの大剣すら遥かに超える大きさ。


    これをもって……!


    「バシュバーザ、お前を消滅させる……!」


    「待ってくれ! ダリエル助けてえええーッ!!」


    子どものように助けを求めるバシュバーザ目掛けて、俺はオーラでできた巨大光剣を振り下ろした。


    巨大なる光の放出は、バシュバーザの体を斬るというより飲み込んで……。


    その体内に取り込まれた凶悪な奔流共々。


    この世から跡形もなく消し去った。
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